運動は週2回でいい!?「健康づくりのための身体活動基準2013」について

健康

「健康のためには運動を毎日しなきゃなの?」

「毎日運動するのって続かなそう…」

「どのくらいからだを動かさないといけなんだろう?」

健康を意識した時に、このような疑問や不安を持つ方もいらっしゃると思います

からだを健康に保つためには運動が必要というのは、皆さんもご存じでしょう

しかし、健康のためにどのくらい運動するのがいいか、知っていますか?

健康のための運動(または身体活動)はどのくらい行えばよいか?というものを、厚生労働省から基準が明示されています

それが、「健康づくりのための身体活動基準2013」です

この基準では、ライフステージに応じて健康づくりのためにどのくらいの身体活動が必要なのかが記されています

その中では週2回の運動習慣を持つようにしよう」とあります

「週2回でいいんだ!」と感じると思いますが、その他に普段の生活でどのくらい動いているかも大事になります

この記事では「健康づくりのための身体活動基準2013」の内容をかみ砕いて説明し、健康のために必要な運動量・活動量について整理したいと思います

この記事はこんな方におすすめ!

  • 健康になりたい
  • 運動を習慣化したい
  • 毎日運動するのが大変

健康になるためのひとつの指標として、参考になると思います

ぜひ自分の今の生活と照らし合わせながら見てみてください!


身体活動について

健康づくりにおける身体活動の意義

まず「身体活動」とは何か?どのような意義があるのか?

ということからお話しします

身体活動とは、安静にしている状態よりも多くのエネルギーを消費するすべての動作を指します

つまり、動いていることそのものが身体活動になります

身体活動は以下の2つに分けられます

  • 生活活動:日常生活における労働,家事,通勤,通学など
  • 運動:計画的・継続的に実施されるもの

日常の身体活動量を増やすメリット

日常の身体活動量を増やすことで、どのようなメリットがあるのでしょうか?

まず、メタボリックシンドロームを含めた循環器疾患・糖尿病・がんといった生活習慣病の発症や、これらが原因で死亡に至るリスク加齢に伴う生活機能低下(ロコモティブシンドロームや認知症など)を来すリスクを下げることができます

そして運動習慣を持つことは、これらの疾病等に対する予防効果をさらに高めることができます

メリットは将来的な疾病予防だけではないです

  • 気分転換やストレス解消
  • 腰痛などの痛み改善
  • 免疫力向上
  • 健康的な体型維持
  • 自己効力感の向上    など…

このように今の生活の質も高めることができるメリットがあります

あわせてこちらの記事もご覧ください

身体活動に関する問題

健康課題として国内外問わず身体活動についての研究が行われていますが、近年は身体活動不足が世界的に問題視されています

WHOは、高血圧・喫煙・高血糖に次いで、身体活動不足を全世界の死亡に対する危険因子の第4位としています

また国際的な医学誌であるThe Lancetでは、世界の全死亡数の9.4%は身体活動不足が原因で、その影響の大きさは肥満や喫煙に匹敵している、との認識が示されています

そのため、国としても身体活動を少しでも増やそうと運動を起こしていますし、私たちも身体活動を増やすように意識していく必要があります


健康づくりのための身体活動基準2013とは?

ここからは、この記事の本題になる「健康づくりのための身体活動基準2013」の内容にふれていきます

厚生労働省から発表されている本基準の概要のはじめには、以下のように書かれています

ライフステージに応じた健康づくりのための身体活動(生活活動・運動)を推進することで 健康日本 21(第二次)の推進に資するよう、 「健康づくりのための運動基準 2006」を改定し、 「健康づくりのための身体活動基準 2013」を策定した。

健康づくりのための身体活動基準 2013 (概要)  より引用

この基準をお話しするうえで必要になるので、まずは「健康日本21(第二次)」について簡単に触れます

健康日本21(第二次)の考え方

健康日本21(第二次)の概念

健康日本21(第二次)は、2012年7月、第四次国民健康づくり運動として厚生労働省が告示したものです

概念としては以下の通りです

①個人の生活習慣の改善・社会環境の改善

  →生活習慣病の発症・重症化予防、社会生活機能の維持・向上

  →個人の生活の質向上を目指す

②健康のための資源へのアクセスを改善

  →社会環境の質の向上を図る

①+②により「健康寿命の検診・健康格差の縮小」の実現を目指す

健康日本21(第2次)の推進に関する参考資料(p18)より引用

身体活動に関連した目標

身体活動に関連した目標項目として、以下の3つが設定されています

  1. 日常生活における歩数の増加(1200~1500歩の増加)
  2. 運動習慣者の割合の増加(約10%増加)
  3. 住民が運動しやすいまちづくり・環境整備に取り組む自治体数の増加

ちなみに運動習慣者の定義について、国民健康・栄養調査では

「30 分・週2回以上の運動を1年以上継続している者」

としています

個人としては、歩数増加運動の習慣化が目標となりますね

健康づくりのための身体活動基準2013の概要

先ほども記載しましたが、上記の健康日本21(第2次)の推進を助けるように、もともとあった「健康づくりのための運動基準2006」を改訂したものです

運動だけではなく生活の中で行われる活動を含めた身体活動全体に着目しています

そのため、「運動基準」から「身体活動基準」へと名称を改めています

「ライフステージに応じた」とありますが、こどもから高齢者までの基準を検討して、科学的根拠のあるものについて基準を設定しています

そして年齢だけではなく、血糖・血圧・脂質に関する状況でリスクがある様な方には、運動とどう関わるかも示されています

また、身体活動の増加でリスクを低減できるものとして、従来の糖尿病・循環器疾患等に加えて、がんやロコモティブシンドローム・認知症が含まれることを明確化しました

ロコモティブシンドロームについては、こちらの記事も参照してください


健康づくりのための身体活動基準2013の具体的な基準

ここからは、健康づくりのための身体活動基準2013の具体的な基準値をみていきます

まずはこちらの図をご覧ください

「健康づくりのための身体活動基準2013」概要 より引用

身体活動、運動、体力についての基準を、それぞれのライフステージに合わせて示されています

  • 健診結果が基準範囲内
  • 血糖・血圧・脂質のいずれかが保健指導者レベルの者
  • リスク重傷者又はすぐ受診を要する者

などと、検診結果などに応じた基準もありますが、ここでは「検診結果が基準範囲内」の基準を年齢別に見ていきたいと思います

65歳以上

65歳以上は身体活動にのみ基準が示されています

強度を問わず、身体活動を毎日40分(10メッツ・時/週)

ここで聞きなじみが少ない単位が出ていると思います

「メッツ・時/週」ってなに?

メッツ運動強度の単位を表します

この式は、運動強度(メッツ)に活動時間(時)をかけたもので、その活動を週にどのくらい行っているかを示します

詳しくは別の記事でも説明しています

ここでいう10メッツ・時/週はどのくらいかでしょうか?

実際にいくつかの活動を例にして計算してみましょう

・歩き(3メッツ)

 3メッツ×0.67時(40分)×7日(毎日)=14.07メッツ・時/週

・洗濯,料理(2メッツ)

 2メッツ×0.67時(40分)×7日(毎日)=9.38メッツ・時/週

歩きを伴うような活動であれば、1日40分行っていれば基準を達成できます

しかし、洗濯や料理のような立ち仕事だけでは、40分毎日やっただけでは不十分ということになります

しかし実際は、それぞれの活動を組み合わせて計算します

家事をやられる方であれば、他に買い物や掃除もしたりすると思いますので、10メッツ・時/週は余裕で超えるでしょう

問題は仕事も家事もしておらず、からだを動かすような趣味もない方です

私は理学療法士なので、高齢者の方と接する機会が多いのですが、日中はTVや新聞を見て後は横になって過ごしている、なんていう方も結構多い印象です

特に退職してやることがなくなった方に多く見受けられます

  • からだを動かすような趣味をみつける
  • 家のことで自分の役割をもつ
  • 散歩などの運動習慣をつける

などをして、基準を超えられるように身体活動量を増やしていく必要がありますね

18歳~64歳

18歳〜64歳の成人では、身体活動・運動・体力の3項目について基準があります

身体活動量の基準

強度が 3 メッツ以上の身体活動を 23 メッツ・時/週

具体的には、歩行又はそれと同等以上の強度の身体活動を毎日 60 分行う

この基準に書かれている具体例をつかって、簡単に整理します

成人の基準について細かく計算・シミュレーションしたものは、先ほども載せたこちらの記事で確認できます

歩行は約3メッツです

それと同等以上の身体活動を週に23メッツ・時以上行うということなので、計算式は以下の通りです

歩行(3メッツ)×60分(1時間)×毎日(週7回)=21メッツ・時/週

残り2メッツ・時/週が確保できれば達成になります

普段歩く以外にも様々な生活活動もされていると思います

また歩行と同等以上の身体活動がその中に混ざっていれば、

「歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を毎日60分行う」

は概ね23メッツ・時/週に当てはまってると言えるでしょう

運動量の基準

強度が 3 メッツ以上の運動を 4 メッツ・時/週

具体的には、息が弾み汗をかく程度の運動を毎週 60 分行う

こちらも具体例を計算してみます

例えば息が弾み汗をかく程度の運動を「早歩きのウォーキング(4.3メッツ)」とします

ウォーキング(早歩き)を30分、週2回行った場合

4.3メッツ×0.5時間×2回/週=4.3メッツ・時/週

となり、基準が達成されます

体力(うち全身持久力)の基準

性・年代別で全身持久力の基準が示されています

ある強度での運動を約 3 分以上継続できた場合、基準を満たすと評価できます

その表がこちらです

年齢18〜39歳40〜59歳60〜69歳
男性11.0 メッツ10.0メッツ9.0メッツ
女性9.5 メッツ 8.5メッツ7.5メッツ
健康づくりのための身体活動基準 2013(p8)より引用し著者が作表

ランニングを例に考えてみます

ランニングは10 km/時の速度で10メッツ、11.28km/時の速度で11メッツになります

10km/時の速度で3 分間以上走れれば、少なくとも 40〜59 歳男性の基準値に相当する 全身持久力があると言えます

11.28km/時の速度で3分間以上走れれば、18〜39歳男性の全身持久力があるといえます

ちなみに厚生労働省では、至適なトレーニング強度の設定として、以下の水準を示しています

基準値の 50〜75%の強度の運動を習慣的に(1 回 30 分以上、週 2 日以上)行うことで、安全かつ効果的に基準の全身持久力を達成・維持することができる

健康づくりのための身体活動基準 2013(p8)より引用

例えば、30歳の男性の場合、至適な強度の目安として11メッツの50%である「5.5メッツ」が推奨されます

18歳未満

18 歳未満は、定量的な基準が設けられていません

それは、身体活動が生活習慣病などのリスクを減らす効果について、十分な根拠がないからです

ただし、18 歳未満のこどもについても積極的に身体活動に取り組み、こどもの頃から生涯を通じた健康づくりが始まる」という考え方を育むことが重要と考えられています


健康づくりのための身体活動指針〈アクティブガイド〉

健康づくりのための身体活動指針とは?

「健康づくりのための身体活動基準2013」で定められた基準を達成するため、実践の手立てとして示された国民向けのガイドラインです

『+10(プラステン):今より10分多く体を動かそう』をメインメッセージに、理解しやすくまとめられています

アクティブガイド.健康づくりのための身体活動指針より引用

実際に、健康づくりのための身体活動基準2013でも、「世代共通の方向性」として以下のことがしめされています

世代共通の方向性

現在の身体活動量を少しでも増やす 例えば今より毎日 10 分ずつ長く歩くようにする

「すでに身体活動量が基準を超えている場合であっても、さらに身体活動量を増加させることが望ましい」

とシステマティックレビューの結果としても出ています

システマティックレビューとは?
 

研究論文を系統的に検索・収集して、類似した研究を一定の基準で選択・評価したうえで、科学的な手法を用いてまとめること

そのうえで、身体活動量が少ない人にいきなり「23メッツ・時/週の活動量を確保しなさい!」といっても過酷ですので、個人差に配慮した考え方として示すことになりました

さらに、「今より毎日 10 分ずつ長く歩くようにする」と表現していることについて、

  • 歩数は多くの国民にとって日常的 に測定・評価できる身体活動量の客観的指標であること
  • 歩数の増加を健康日本 21(第二次)の目標項目として設定していること

などが理由にあります

運動習慣をもつようにする 具体的には30 分以上の運動を週 2 日以上行う

運動習慣について、

体力の向上や運動器の機能向上のためには、4 メッツ・時/週に相当する ように、1 回あたり 30 分以上、週 2 日以上の運動が最低限必要

と、科学的根拠としてわかっています

健康日本21(第二次)のところでもお話ししたように、運動習慣者の定義を「1 回 30 分 以上の運動を週 2 日以上実施し、1年以上継続している者」としています


まとめ

今回は厚生労働省から発表されている「健康づくりのための身体活動基準2013」についてお話ししました

  • 身体活動:エネルギーを消費する動作すべてであり、生活活動と運動に分けられる
  • 生活活動:日常生活における労働,家事,通勤,通学など
  • 運動:計画的・継続的に実施されるもの
  • 本基準は、ライフステージに応じた健康づくりのための身体活動を推進
  • 年齢別の基準とは別に、世代共通の方向性が示されている
  • 今より少しでも身体活動量を増やす
  • 運動習慣をもつようにする

健康づくりは誰しもが通る道です

ご自身の生活を振り返ってみて、まずは少しでも活動量を増やしてみるところから始めてみませんか?


●参考文献

「健康づくりのための身体活動基準2013」及び「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)」について.厚生労働省HP

健康日本21(第2次)の推進に関する参考資料.厚生労働省.p18

アクティブガイド.健康づくりのための身体活動指針.厚生労働省HP

コメント

タイトルとURLをコピーしました